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亀更新で二次創作やおいを徒然なるままに書き散らすブログです。ジャンルは様々気が乗った時に色々と。基本は主人公受け強気受け兄貴受け年下攻めで。でもマイナー志向もあり。
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また弓士のような士弓です。
性表現があります。

 何度も浅い眠りを繰り返して、俺は寝る努力を放棄した。
 最近嫌な夢ばかり見て、ちっとも安眠できない。
 夢の内容ははっきりとしないけれど、多分アーチャーの記憶だ。
 サーヴァントは夢を見ないと遠坂が言っていたけど、アーチャー自身にも思い出せない記憶を、ラインを通して俺が夢に見ているのだろうか。
 聖杯戦争中、遠坂もアーチャーの記憶を夢に見たと言っていた。
 詳しいことは聞いていない。
 なんとなく聞けない雰囲気だったからだ。
 俺はアーチャーにはならないけど、アーチャーの記憶はあり得たかも知れない俺の未来ということになる。
 夢の内容ははっきりとしないけれど、それがろくでもないということだけはわかった。
 アーチャーが歪んだのは、生きているときの経験ではなく、死後の守護者として存在することに疲れたせいだと聞いたが、あのろくでもない人生が人格に影響を与えていないわけがない。
 でも同情はしなかった。
 俺がそれでも正義の味方を目指すように、あいつも望んだように生きた結果なのだから。
 俺は今でも全てを救いたいと思っているが、アーチャーを見て、遠坂とセイバーの生き方を見て、俺の覚悟が間違っていないが正しくないのだと理解した。
 聖杯戦争を経験するまでの俺は、人として狂っていたのだろう。
 助けたい人間のために命をかけることを躊躇わない。
 助ける命に自分の分が勘定に入っていない。
 これは、間違っていないけれど、正しくないことなのだ。
 俺には待っていてくれる人がいる。
 俺が死んだら悲しむ人がいる。
 俺の命は、俺だけのものではないのだと遠坂とセイバーに教わった。
 アーチャーは、間違っていないけれど正しくない生き方を貫いて、誰にも理解されずに死んだのだ。
 俺はアーチャーになってはならない。
 それはアーチャーのためでもある。
 アーチャーは俺の理想で、そして理想とは決定的に異なっている。
 聖杯戦争での俺との戦いで、自分の生き方が間違いじゃなかったことを納得したアーチャーは、もう俺のことを殺そうとしたりしない。
 でも顔を見ると反射的に殺意が湧くと言うんだから、ひどいと思う。
 アーチャーのことを思えば、無理も無いのかもしれないけど、殺意を抑える代わりに嫌味を言うのはやめてもらいたい。
 まあ、息を吸うように嫌味を言うのがアーチャーだけどさ。
 アーチャーの過去が気にならないわけはない。
 それは俺が辿ったかもしれない未来なんだから。
 でも毎日のように夢に見るのは、よくわからないけど辛いことばかりだ。
 そして、夢の中のアーチャーはそれを苦痛だと思っていないところが、余計に辛かった。
 アーチャーは俺の可能性かもしれないけど、俺じゃない。
 アーチャーの夢を、俺は自分の過去だとは感じられなかったから、他人の痛みを感じるように、俺は苦しくなった。
 これが俺自身の辿る道だと思えたなら、俺は平気だったと思う。
 同情はしないけれど、辛いものは辛い。
 あいつの背負っているものは、こんなにも重いと思うと苦しくなる。
 今アーチャーは側にいるけれど、世界の終わりまでアーチャーは守護者としてあり続けなければならない。
 それは今の日常が、世界のバグに過ぎないことを示している。
 ランサーはなんだかわからないけれど、アーチャーは明日消えてしまってもおかしくないのだろう。
 それは嫌だった。
 俺はアーチャーが苦手だったけど、いつの間にか、どうしようもなく好きになっていたから。
 理想の自分だから好きなんだろうか。
 それはいくら考えてもわからなかった。
 むしろアーチャーの自分とまったく違った部分に惹かれているような気がする。
 夢とそんなことばかり考えているので、俺はすっかり不眠症だった。


「眠れないのか」


 不満そうな顔をしたアーチャーに声をかけられて、俺は生返事をした。


「うーん。ちょっとな」


 アーチャーに訊ねられるのははじめてだった。
 最近ずっと機嫌が悪かったのは、俺の顔色が悪かったせいだろう。


「夢を見るのか?」


「えーっと、そんなんじゃないけどさ」


「隠しても無駄だ。パスのせいだろう」


 アーチャーの機嫌がどんどん悪くなっていくのがわかるけど、こんなの不可抗力だ。それで機嫌を損ねられても理不尽すぎる。


「お前は愚かだ」


「な、なんだよ、それ」


 いきなり愚かとか言われて、さすがにムカついて、俺はアーチャーを睨んだ。
 すると、いつものように突然に、アーチャーにキスをされた。


「あ、アーチャー?」


「パスから流れてくる映像を遮断することぐらい簡単なことだ。私を拒絶すればいい。それをお前は、反対により深く私を知りたいと願うから、夢として私の過去を見るのだ。お前が知っていればいいのは、今ここにいる私だけだ。私の過去などお前には関係ない。それで不眠症に陥っていれば世話は無い」


 そう言うと、アーチャーはパジャマを脱いで、俺に圧し掛かった。
 こうなると抵抗など無駄だし、俺も抵抗したいわけじゃない。
 もう一度、今度は深く口付けると、アーチャーは言った。


「夢など見ないようにしてやるさ」


 アーチャーと寝るのは初めてではなかったけれど、その始まりはもう思い出せなかった。
 求めること以外、何も考えられなかったことだけを覚えている。
 それから何度も、俺たちはセックスを重ねている。
 不自然な関係は、体を合わしているときだけ自然に思えた。
 アーチャーの気持ちはわからないけれど、この行為により積極的なのはアーチャーのほうだった。
 一番の原因は、魔力が足りないんだと思う。
 霊体のアーチャーにとって、性行為は簡単な魔力の摂取手段だ。
 もちろんそればかりじゃないんだろうけど。
 アーチャーの考えていることなんて、ちっともわからない。
 でも交わっているときの熱が、アーチャーとひとつになれた証のようで、俺はこの関係が嫌いじゃなかった。
 アーチャーは、普段嫌味ばかり言う口で俺自身を育てると、唾液を絡ませた指で自分の秘所を解した。


「……んっ、くっ……あ……ああ」


 こんな時のアーチャーはすごく綺麗だと思う。
 普段の姿からは想像もつかないほど淫靡な様子に、それだけで達してしまいそうになる。
 それを意思の力で我慢して、俺はアーチャーが腰を落とすのを手伝った。
 ちゅぷっと音を立てて、肉の襞が俺を迎えてくる。
 狭く熱いそこは、快楽の坩堝だった。
 いつまでも包まれていたいのに、乱暴に動かしたくなる。
 アーチャーの腰の動きに合わせて、俺も下から突き上げた。


「は……あああ、あ……ん」


 甘い嬌声に俺は酔いがまわったような気分になった。
 アーチャーの鋼色の瞳から、涙が零れている。
 乱れた白い髪、汗が跳ねる褐色の肌。
 どれも綺麗でたまらない。
 アーチャーが白濁した飛沫を零した次の瞬間、俺も欲望の証を最奥に放っていた。


 何度か体位を変えて交わって、若いといってもさすがに俺も限界だった。
 搾り取られたというのがしっくりくる。
 すさまじく気持ちよかったけど。


「これで、お前も眠れるだろう」


「んー、お前も眠れよ」


「なんだ、添い寝が欲しいのか。今夜は特別に朝までいてやるから、さっさと眠れ」


 なんだか強烈に眠くなって、俺はアーチャーを抱きこんだ。
 珍しく拒絶も、嫌味も無いので、調子に乗った俺は、アーチャーの胸に縋り付くようにして、目をつぶった。
 途端に意識が朦朧としてくる。
 久しぶりの眠気の中で、アーチャーが何かを言った様な気がしたが、そのまま俺は眠りについた。
 起きたときにアーチャーがいればいいのにと願いながら。

2009/4/9UP


士弓はいつも騎乗位を書いているような。
バリエーションがありませんね。
あいかわらず弓士のような士弓です。
思うようにHが書けません。
難しいですねやおいって。

 

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