ベッドの上で、ジュスランはアリアバートが服を脱がせるのをじっと見ていた。
観察されているようで落ち着かなかったが、ジュスランを裸にして、自分も服を脱ぐと、アリアバートはジュスランに深く口付けた。
先ほどの触れるだけの口付けとは違い、貪るように舌を絡め、ジュスランの口内を蹂躙する。
自分から動いたくせに、ジュスランの態度は完全に受身だった。
それでも、こちらが積極的に出れば、おずおずと応えてくる。
ジュスランをベッドに横たえた時、アリアバートは何故だと問いたくなった。
自分に応えたのは何故なのかと。
だが、アリアバートはその問いを口にしなかった。
真相を知ることも怖かったが、今更だとも思ったからだ。
きっとジュスランは好奇心で己を受け入れたのだ。
そう思ったほうが、まだ納得できた。
自分と同じ思いを返してもらえるとは思わないが、歪んだ自虐からアリアバートに抱かれるのだとは考えたくなかった。
ジュスランは何かに飽いている。
それぐらいはアリアバートにもわかったが、それが何かはわからなかった。
ジュスランの思考はアリアバートには手に余る。
だからといって、分かりたいと思う気持ちを消すことはできない。
ジュスランの思った以上に滑らかな肌を確かめるように触り、舌と唇で全身を辿っていく。
くすぐったそうにしていたジュスランの胸の突起を舌と指でこね回すと、突起が芯を持って立ち上がってきた。
「変な感じだ、アリアバート」
頬を赤く染めたジュスランが呟いた。
幼さを残す整った顔が、眉を寄せるのを見ると、その扇情さに息が詰まった。
「どんな風に変なんだ? ジュスラン」
「そこから熱い痺れが広がって行くような気がする」
「それは、感じているんだよ」
「そうなのか?」
「多分……俺もよく知らないが」
そう言うと、ジュスランが可笑しそうに笑った。
ああ、この表情は好きだなとアリアバートは思う。
経験が無いのは多分お互い様だ。
ジュスランが最初の相手で、そしてジュスランの最初の相手になれてよかったとアリアバートは思った。
幼い独占欲だが、確かな優越感があった。
ジュスランのこんな表情を見れるのは自分だけだ。
性格的に、ジュスランは女にこんな表情は見せないだろう。
ならばこれからも、この表情は自分だけのものなのだ。
突起を弄っていた手を、下に伸ばして、緩く勃ち上がったジュスラン自身を強弱をつけて扱くと、簡単に硬くなった。
「あっ、アリアバート……そこは……」
「いいから、ジュスラン」
男と寝ることになるなんて考えたことは無いが、それがジュスランなら、男性器さえ愛しい。
アリアバートは迷うことなく、ジュスラン自身を口に含んで喉と舌で刺激した。
「あ……んっ、アリア……バートっ!」
ジュスランの声に刺激されて、雁首に軽く歯を当てると、手で上下に強く扱いた。
先走りの液を右手ですくうと、その手を奥まった場所に持っていく。
指を一本裡に挿し込んだら、ジュスランの体がびくっと震えた。
裡を確かめるように何度か動かすと、指の数を増やしていく。
三本まで増やしたところで、ゆっくりジュスランの片足を持ち上げ、秘部に己自身を押し当てた。
そしてゆっくりと肚の裡に自身を埋め込んでいく。
「あっ、ああああっ! アリアバートっ!」
「くっ、ジュスラン……」
予想以上に、そこは熱く狭かった。
ジュスランの負担を減らすように、ゆっくりと押し進めていくと、明らかな嬌声が上がった。
快感を感じる部分を擦ったらしい。
そこを中心に円を描くように突いていくと、濡れたような悲鳴がジュスランの口から漏れる。
握ったままだったジュスラン自身から手を放すと、勢いよく白濁した液が互いの腹に飛び散った。
その瞬間、内部が急に収縮して、アリアバートも最奥に欲望の証を解き放った。
「何を考えている?」
寝室に続いている浴室から出てきたジュスランにアリアバートは訊ねた。
答えを期待したわけではない。
ただ訊ねてみたかった。
「何も、何も考えていないさ、アリアバート」
予想通り、答えはもらえなかった。
だが、アリアバートは満足だった。
ジュスランはこの関係を否定しなかった。
間違っているのかもしれないが、ジュスランの体だけでも手に入った幸運を逃すわけにはいかない。
従弟で弟である彼を愛している。
ジュスランに愛されたかったが、彼を愛していることがわかっただけで今は十分だ。
アリアバートは立ち上がって、まだ濡れたジュスランの褐色の髪に口付けした。
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