君だけが、僕の世界僕の全て
……僕のただひとつの愛
舞×速水前提速水受けです。
君さえいれば、僕は世界だって手に入れてみせるという話ですが、はじめに言いますが、これは悲劇です。
私はそなたに嘘をついた。
永遠などありはしないと、我らは知っていたな。
互いに裏切らないことを、我らは誓った。
そなたの秘密など、私はとおに知っていたのだ。
隠そうとしたことを責めはしない。
私もそなたに言わなかったことがたくさんあるのだから。
世界を我らが手に入れる。
そう約束したな。
そなたは約束を守ってくれるだろうか。
私がこの世から消え去ったとしても。
厚志……私のカダヤ……私はそなたに嘘をついた。
はじめから、私は死ぬためにあったのだ。
この熊本城戦は、私とそなたのためだけの戦場だ。
そなたが私のカダヤとなったとき、そうさだめられた。
死ぬことに後悔はない。
それも芝村のつとめだ。
脱出装置の事故も、最初から仕組まれていた。
ああ、原は己を責めるだろう。
案外我らはあのものに好かれていたようだからな。
聞こえているはずもないが、整備のものたちを憎まずにいてくれ。
これは決まっていたこと。
私が自ら決めた運命なのだから。
悲しむなと、そなたに伝えたい。
だが、それも許されないことだ。
そなたの悲しみと憎しみと絶望を引き出すために、私はここで死んでいくのだから。
真実を知れば、そなたは私を憎むだろうか。
そうなれば嬉しいと感じる私はもはや芝村ではないのかもしれない。
芝村は死ぬまで芝村だ。
だが、そなたと生きたかったと、最後に夢見るぐらいは許されてもよいのではないか?
私がついた嘘をみやぶって、私のことなど忘れて欲しい。
芝村でなければ、きっとそう思っただろう。
厚志……私は今とてもおだやかだ。
そなたを地獄に突き落とそうとしながら、私はそなたのために死ぬことを、このうえなく誇りに思う。
そなたをカダヤに選んだ己が誇らしい。
地獄は我ら芝村の故郷なれば、私はそこでそなたを待とう。
そなたの弱さゆえに、そなたは誰よりも強くなるだろう。
その隣にいるのが私でないことが、少しだけ口惜しい。
だが、この役目は私以外にはなし得なかったと自惚れてもよかろう。
そなたにとって、私はそれだけの価値があったか、それだけが気がかりだ。
死んでまで、そなたを誰にも渡さないなどというつもりはない。
私との約束を覚えていてくれればいい。
それだけが、私たちの真実だったから。
そなたは世界を手に入れろ。
偽りばかりの我らの、ただひとつの本当の約束だ。
もう時間がないな。
嘘つきで臆病なそなたは一度も言葉にしなかったが、私はそなたが私を愛していることを知っていた。
私を利用しようとしていたことも。
芝村を憎んでいたことも。
全部知っていた。
だからこそ、そなたをカダヤにえらんだのだ。
最後だからこれだけは、言っておこう。
私も臆病だったからな。
「あいしている……あ…つ……」 |
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本サイトのGPMの基本となるお話です。
全ての話は、この話を基準としたものとなります。
九州撤退までを舞速水と速水受けで進めるつもりです。
しょっぱなからこれですが、管理人は舞ちゃんを一番愛しています。
前サイトで一年以上放置していましたが、なんとか更新再開したいと思います。
停滞はあると思いますが、完結はさせようと思いますので、気長におつきあいください。
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