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亀更新で二次創作やおいを徒然なるままに書き散らすブログです。ジャンルは様々気が乗った時に色々と。基本は主人公受け強気受け兄貴受け年下攻めで。でもマイナー志向もあり。
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ギアスR2でロイド騎士設定。
黒の騎士団とダモクレス組に厳しめ。
賢帝ルルーシュ。
カップリング要素は薄いです。
でも一応ロイド×ルルーシュで。
連載です。


「君はユフィの仇だ」


 今更何を言っているのだろうと俺は投げやりに思った。
 仇だと言うのなら、討てばいい。
 言い訳する気はなかった。
 ユフィを殺したのは確かに俺だ。
 初恋の相手を虐殺皇女と呼ばせた挙句、自分の手で止めを刺したのだからな。
 今でもユフィを愛している。
 だがそれをスザクに告げて何になるというのだ。
 零れたミルクは元には戻らない。
 それは俺が背負うまぎれもない罪のひとつだ。
 だから俺はスザクに告げた。


「だから?」と。


 するとスザクは、俺が予想していなかった言葉を言い出した。


「君の言葉は嘘ばかりだ。でも僕も君に、君たちに嘘をついていた。ユフィも僕に嘘をついた。ユフィは最後まで君の正体を僕に話さなかった。その意味を、僕はもっと考えるべきだった」


「何を言っているんだ」


「シャーリーに言われたんだ。許せないんじゃないと、僕は君を許さないと決めていた。それがユフィのためだと思っていたんだ。でも違った。僕が君を許したくないだけだった」


「俺を許す必要がどこにある。俺はユフィの仇なんだろう? 騎士として俺を殺すのは正しい選択だ。それがお前の望みなんだろうが」


「だから、理由を話して欲しいんだ。君が単純にユフィを利用して殺したとは、僕にはもう思えない。君を憎んでいる時、僕はずっと苦しかった。僕の手で君を殺すと言いながら、そんなことを言わせる君を恨んだ。本当に君のことが好きだったから」


 そんな言葉信じられない。
 だって、お前は俺を切り捨てたじゃないか。
 あいつらと同じように、俺を捨てたんだ。
 俺は最初から存在してはいけなかったんだ。
 そうすれば、ユフィもナナリーも死なずにすんだんだから。
 でも俺は生きたかった。
 ナナリーとふたりの明日が欲しかった。
 それがそんなにいけないことだったのか。


「信じられない。もう誰を信じたらいいのかわからないんだ!」


 俺は叫んでいた。
 もう俺には誰もいない。
 信じられる人間は皆死んでしまった。
 残ったのは裏切り者ばかりだ。
 そして俺も裏切り者なのだろう。


「私の存在を忘れるな」


「C.C.!」


 ああ、そうだ。
 俺にはまだこいつがいる。
 父と母を裏切って、俺を選んだ共犯者。


「枢木スザク、お前にこいつの言葉など必要ないだろう。いつだって話を聞かなかったのはお前の方なんだからな」


「ルルーシュにギアスなんてものを与えた君に言われたくないよ」


「私がギアスを与えなければ、こいつは死んでいた。いい機会だ、お前の罪深さを知るがいい」


 そう言うと、C.C.はスザクを突き飛ばした。
 その途端、スザクの姿が消えてしまう。
 俺は驚いて、C.C.に詰め寄った。


「スザクをどうしたんだ?」


「どこまでも甘い坊やだな。そんなにあの莫迦のことが心配か?」


「そういうわけじゃない。目の前の人間が、いきなり消えたら驚くだろう」


 そうは言っても、俺にスザクを完全に切り捨てることは確かにできない。
 絶対に裏切らないと思っていた相手に捨てられた時、救ってくれたのはスザクだったから。
 裏切られても、捨てられても、本当の意味ではスザクを憎めなかった。
 今でも俺を捨てたあいつを忘れられないのと同じように、スザクのことも切り捨てられなかった。
 だから心配したのは本当だった。


「心配は要らないさ。Cの世界のお前の意識とリンクさせただけだ。今頃幼い時からのお前の経験を追体験しているところだろう」


「な? 勝手なことをするな!」


「必要な嘘もあるというのは私も賛成だが、お前達は嘘に縛られて互いに動けなくなってしまっている。あの莫迦はもう言葉を信じられなくなっているはずだ。ならば事実を突きつけてやればいいだけだ。これで少しは自分の愚かさを思い知るだろうからな」

 俺の記憶を追体験する。
 それでスザクは納得できるのだろうか。
 でも納得したからどうだっていうんだ。
 あの時、スザクが俺たちよりもユフィを選んだのは変えられない。
 俺がユフィを殺したのも変わらない事実だ。
 幼いあの日に、誰よりも信じていた相手に裏切られたことを、俺が忘れられないように、スザクも俺を許さないだろう。
 答えが分かっていながら、俺はまだ期待している。
 あれは何かの間違いだったのだと。
 あいつが俺を裏切るはずは無いのだと。
 日本に送られる俺に会いにもこなかった。
 終戦後も俺を探しに来なかった。
 それが何よりの心変わりを示していると言うのに。


「なあ、ルルーシュ。確信はなかったからずっとお前に黙っていたことがあるんだが、ギアスキャンセラーを手に入れた今なら、お前は、自分の騎士を取り戻せるかもしれないぞ」


「どういうことだ?」


「まずは、ジェレミアと合流して、お前の騎士を捕まえる。すべてはそれからだ」


 俺に騎士などいないという言葉は、口にできなかった。
 C.C.の言っていることが、なんとなくだが理解できたからだ。
 もし、そうなら、俺はあいつを信じてもいいのかもしれない。
 期待しても裏切られるだけだという思いとは裏腹に、信じたいという気持ちを俺は抑えることができなかった。


「ロイド……」


 俺は、俺の騎士になるはずだった男の名を呟いた。

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