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亀更新で二次創作やおいを徒然なるままに書き散らすブログです。ジャンルは様々気が乗った時に色々と。基本は主人公受け強気受け兄貴受け年下攻めで。でもマイナー志向もあり。
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ギルガメッシュサーガでの影王です。

 遠い昔。
 金剛国で死を迎えてから、影王はずっと半身を捜し続けていた。
 生きていた頃は、あれほど憎んだ双子の弟を、死を迎えた今になっては、なんの迷いもなく愛していると思える。
 いや、生まれる前から影王はマダラを愛していた。
 憎まずにはいられないほど、ただひとりを求め続けていたのだ。
 だがこの闇の中には、ふたりを隔てるものは何もない。
 ようやく見つけたマダラの魂を抱いて、影王は幸せだと思った。
 ただひとりの半身の魂は温かかった。
 ここにはふたりを邪魔すものは何も無い。
 マダラの魂は安らいでいるようだった。
 闇がどこまでも広がる、転生前のアガルタの空間で、影王はマダラを抱いて眠りにつこうとした。
 その瞬間、ふたりだけの空間に異分子が現れた。



「マダラ!」



 そう叫んだのは、影王が嫌悪してやまないひとりの男だった。
 人影はふたつ、もうひとりは、男の半身である赤い髪の戦士だろう。
 マダラの魂を抱きしめたまま、影王はふたりを睨みつけた。



「探し物はこれか? カオス……」


「影…王…!」



 カオスに見せ付けるようにマダラの魂を抱きしめながら、影王はひっそりと微笑んだ。
 マダラは誰にもわたさない。
 俺たちはひとつの存在なのだから。



「これがマダラの魂だ。現世での戦いを終えて眠っている。わかるだろう? 安らぎに満ちているのが……俺たちはここで眠り続ける。戦いからも……総ての憎しみや、苦しみからも解放されて……」



 金剛国でのように、傲慢にカオスは告げた。



「マダラをよこせ。戦いはまだ終わってはいない」



 どれだけの時が経とうとこの男は変わらないと影王は嘲笑った。
 お前の望みなど、わかりきっている。
 欺瞞に満ちたお前の望み。
 アガルタに呪われた狂人が。



「───あいかわらず血に飢えているな、カオス」



 カオスのマダラへの執着の本当の理由を影王は知っている。
 忠誠などまやかしに過ぎない。
 この男は、いつでも自分を偽っている。



「お前が欲しているものはなんだ? 戦場か? 血か? 殺戮か? 俺は知っているぞ! マダラという王のもとでなら、お前は安心してそれらを手に入れられる」



 カオスの動揺した姿を、影王は心から見下していた。
 お前には、マダラに触れる資格などないのだと。
 そして、つきつけた。カオスの本当の望みを。


「本当は、お前自身が王になりたいのだ!! その野心を、お前はマダラにすりかえているだけなのだ!!」



 カオスは立ち尽くして、震える声で反論した。



「……違う……俺は……」



 愚かな男だと影王は思った。
 誰にもマダラは渡さない。
 それがカオスだったならば、なおさらマダラを渡すことはできない。



「マダラは渡さん」



 その時、どこかで扉が開く音が響いた。
 それが意味することを、影王はよくわかっている。
 何故人は過ちを繰り返すのか。
 人間たちの欲望を影王は憎んだ。
 この音は、欲につかれた人間がアガルタの門を開いた証。



「いやだ!」



 地上へと魂が呼ばれる。
 マダラの魂はすでに影王から引き離されていた。



「現世になど行きたくない……! もう転生はしたくない……!!」



 マダラと俺を引き離さないでくれ。
 強烈な吸引力に、影王は必死で抵抗した。
 扉を閉めなくてはならない。
 マダラ、マダラ、マダラ、マダラ、マダラ!!
 転生を逃れるのと引き換えに、影王は自らの魂ごとアガルタの扉を凍りつかせた。
 マダラは転生した。
 ならば、いつかこの扉を開きにやってくるだろう。
 そのときこそ、俺たちはひとつになるのだ。



 片翼の黒き天使は、再び半身と出会う日まで氷の中で眠りについた。
 カオスと聖神邪がどうなったのか、影王は知らない。
 ただ、あの狂人にマダラが傷つけられないことを祈りながら、影王は深い眠りの中でマダラを想った。
 影王がマダラと出会うのは13年の月日を待たねばならなかった。

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ギルガメッシュサーガは影王のマダラへの愛が全開でしたね。
憎しみでも、愛でも、マダラだけがすべての影王にとって、カオスの存在は醜悪なのでしょう。
聖神邪とはまだ分かり合えそうですけどね。

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