もう何時間こうしているのか。
時間の感覚が曖昧になっている。
首にはめられた首輪から伸びる鎖を強く引っ張られて、正気が戻ってくる。
だが今の状態で、意識が戻ってくるのは苦痛だった。
逃げられないのなら、快楽に溺れて何もわからなくなってしまったほうがマシだ。
何故私は鎖に繋がれているのだろう。
そもそもの始まりが思い出せない。
今はただ、首輪を引っ張られる息苦しさと、私を貫く熱い熱杭の激しい動きだけが感じられる全てだった。
獣のように後ろから貫かれながら、目の端に見覚えのあるソファーが目に入って、ここが遠坂家の居間であることを思い出す。
凛はロンドンでしばらくは帰ってこない。
それをいいことに、主人の留守中に私を引っ張り込んだランサーは、私の体を好き放題に弄んでいる。
口では何と言っても、碌な抵抗をしないのは、本当は嬉しいからだ。
労わるように優しく抱かれるよりも、手ひどくされるほうが、ランサーの執着を感じられてひどく感じる。
彼の言葉は信じない。
だけど、与えられる暴力と快楽だけは、私にとって真実だった。
互いに死力を尽くして戦っているとき、彼の意識が私に向かっていることを確かに感じられて、負けるわけにはいかないと思いながらも、彼の手で死にたいと何度も思った。
快楽の絶頂は死に似ている。
互いにイレギュラーな召喚に応じた今、ランサーによって、私は幾度となく小さな死を繰り返す。
衛宮士郎をマスターとしてしまった私は、少しばかり常に魔力不足の状態だ。
ランサーの私に対する不可解な執着は、私にとって渡りに船だった。
今回はやりすぎだと思うが、セックスのとき、ランサーはなにかと私を束縛しようとする。
腕を縛られることなどは普通のことだ。
さすがに、鎖付きの首輪で繋がれたのは、今回がはじめてだった。
悪くはないが、味をしめられても困るなと、半ば正気に戻った頭で考えた。
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